ナカミチ Mobile Cd Tuner1
1991年(平成3年)、1DINタイプのCDヘッドユニットよりも、
カセットデッキやDATデッキに各メーカーが力を入れていた時代。
名門ナカミチが前モデルCD-701(発売時価格¥150.000税別)の後継として、
発売を開始したのがMobile Cd Tuner1(MCT1)でした。
この頃は、ナカミチと言ったらTD-1200やTD-700等のカセットヘッドユニットの銘機達が王道で、
CDはあくまでもサブ的役割のCDチェンジャーが主流。
そんな平成の初頭、これから始まるCDヘッドユニット黄金時代の
まさに立役者となったアルパインJuba7909JやソニーCDX-U8000そして、
このナカミチMCT1が存在して事も忘れてはいけないアイテムでした。
ナカミチ初のCDチェンジャーコントロール機能(AUXとの選択)
付きの本格的アンプレスCDヘッドユニットで、
当時の同メーカーのテープデッキMobile Tuner Deck1
(発売時価格¥125.000税別)等とデザインは類似。
独自の4fsデジタルフィルター&リニア16Bitグリッチフリー デュアルD/Aコンバーターを搭載し、
当時としてはかなりの音質を追求したモデルでした。
その後、1994年にアンプ内蔵モデルのCD-7(発売時¥69.800税別)が登場。
ナカミチのカタログからはついにアンプレスCDヘッドユニットが消え、
完成度の高い銘機CD-700(発売時価格¥170.000税別)がお披露目されるまでは、
MCT1発売から8年の歳月が流れる事になります。アナログヴォリュームは握りやすいが、
流石に時代を感じさる感度の悪さ、CDの選曲ボタンもCD-700に比べ使い難い。
デザインも今となっては古臭いが、あくまでもビンテージ品って事で…。
CD部〜D/A変換方式:16BitデュアルD/Aコンバーター4倍オーバーサンプリング、
標本化周波数:44.1kHz、量子化:16ビット直線、周波数特性:5〜20.000Hz、
S/N比:90dB以上(IHF A-WTD)、ダイナミックレンジ:85dB以上、ワウフラッター:測定限界以下、
全高調波歪率:0.008%(1kHz)、チャンネルセパレーション:85dB以上、
出力レベル:1V RMS(CDレベル:−10dB 最大)、出力インピーダンス:1kΩ、
総合〜電源:DC14.4Vマイナスアース(使用可能範囲:10.8〜15.6V)、消費電流:最大1.5A、
重量:約1.6kg、発売時価格:¥110.000(税別)*Mobill Cd Tuner1取扱説明書参照。
発売開始は1年先輩のアルパインJuba7909J。
当時からナカミチ好きの私(この頃は当方TD-700愛用)
でしたが、どうもこのMCT1は受け入れる事が出来なかったユニットでした。
それは20年以上前、ある場所で双方共に比較視聴をした事もあり7909Jには
質もクオリティーも負けた〜ってショックが御座いまして、悔しい思いをした。
今回、まさかの懐古録って事で、その記憶が再び蘇るとは…。
「Absolutely State of the Art」〜究極の美の世界〜をポリシーとする
プレシジョンパワーにおいて、その方針に基づき具現化されたのがArtシリーズでした。
その中でも一番人気のあったとされる4chアンプArt404.2(発売時価格¥118.000税別)と、
音楽の感動を味わい尽くせる真の高音質を求めるオーナーの為に、ナカミチが限定100台と言う
50W×4の100paをベースにリファインしたスペシャルモデル1000pa(発売時価格¥170.000税別)を
比較視聴のアンプに選択。使用は双方共にブリッジ接続で行う事に致しました。
流石はナカミチ!って言いたい所ですが、CD-700とはテクノロジーも違い
やっぱりこんなもんだったけ〜って感じが否めない。
現実、内臓アンプ機のCDヘッドユニットCD-45z(発売時価格¥60.000税別)
等の方がまだ音質も機能的な面も良かった様な気がする。
クラッシック音楽は幾分、分解能力の高さを感じたものの細身で低音楽器の押し出し感、
高音楽器の鮮度等もいまいち再現してはくれない。
ジャズにおいてはキックドラムのアタック音、
シンバルのショットも刺激的な響きが感じられず、
ピアノソロはノイジーになり音像がハッキリしてこない。
音の立体感が感じられず、ヴォーカルを視聴しても各楽器と
アーティストが一緒の立ち居地におり、歌い手の唇の動きや体温は
殆ど感じさせてくれないが、これは今もなお伝説として語り継がれている往年の銘機、
アルパインJuba7909Jが比較視聴機っ事でして総合的に良い所が見つからなかった。
シンセサイザー楽器の音色も薄く平坦になりがちで、
HiFiオーディオにはまだ到達仕切れていない時代を感じさせた。
単純に言えばCDを聴ければ良いってレベルで各ジャンルの音楽も
全てにおいて曖昧にしか感じる事が出来なかった。
ナカミチブランドって事ですし、珍しいからと興味を持たれる方がいると思うが、
後の事を考えれば中古での購入はお勧め出来ない。
何故なら現在ではグッドコンディションのモノは殆ど見る機会もなくなり、
個人的には当店ではあまり人気はなかったが同ブランドCD-400(発売時価格¥65.000税別)
の方がまだ音楽再生において完成度が高いと思って欲しい。
修理もサービスパーツが略皆無なので壊れた時にはThe Endと思って頂きたい。