デノン(デンオン) DCT-1/DCT-100
高級CDヘッドユニットの代名詞、あのDENON DCT-A1の発売から約3年半後、
ついに最終モデルへと進化を遂げる事になる。
DCT-1が発売されたのは2002年夏、世界限定1000台のLimited Model DCT-Z1同様に
AL24プロセッサーPlusをはじめバーブラウン社製PCM1704を搭載。
アドバンスド・マルチ24Bit DACやオリジナル純銀製RCAケーブル等、
このDCT-1にも採用されている。そして前モデルDCT-A1との違いはデジタル
音声出力が装備された点、しかしAUXデジタル入力が廃止されてしまう事となる。
だが、デジタルバッファーの高速化やI-V変換及びLPF部のオペアンプの改良等と
拘りを見せる内容となった。アルミニウム製グレイスゴールドのフェイスパネルは
DCT-A1同様高級感を醸し出す、操作ボタンの配列が左右6個ずつ対称に
レイアウトされたお陰でディスプレー部がセンター位置ではなく
正面より右にずれた形となってしまい個人的には前モデルの方が
見た目のバランスが良かった様に思うのですが…。
更にイルミネーションもグリーンとオレンジ、2色の切り替えが出来るのは変わらないが、
少々高輝度のLEDに変更され同色共に光り方が色濃く出る様になってしまった。
この部分も個人的には、前モデルのほんのりした感じの明るさの方が好きでしたねぇ〜。
翌年の2003年夏、満を持して中級モデルDCT-A100の後継機DCT-100が登場する。
そして、量産機(ナカミチCD-700UK.Kobayashi Tuning等、限定モデルは別)で
純粋なアンプレスCDアナログヘッドユニット(クラリオンDRZ9255SEの様な
アライメント機能等を搭載するモノは別)の最後となるだろう?プレイヤーとなった。
此方のモデルも上級機DCT-1同様、バーブラウン社製PCM1704やアドバンスド・マルチ24BitDAC
等を採用しDCT-A100とのテクノロジーの差を見せ付ける。そして、S/N比やダイナミックレンジ、
周波数特性に歪率などのスペックもDCT-1と一切変わらないとされ、発売価格も¥150.000(税別)
と割とお手頃になり(前モデル、DCT-A100は¥170.000税別)
少々無理をすればようやくDENONの高級CDプレイヤーが、手の届く金額となった。
スペック(DCT-1)〜CD部・D/Aコンバーター:AL24 Processing Plus Advanced
Super Linear Multiple 24-Bit D/Aコンバーター(PCM1704)8倍オーバーサンプリング、
周波数特性:5〜20.000Hz(±1dB)、ダイナミックレンジ:110dB、S/N比(IHF-A):115dB、
全高調波歪率:0.004%、オーディオ出力電圧:8V(バランス) 4V(RCAプリ出力)、
外部入力:アナログ、外部出力:光デジタル、電源電圧:14.4V(11〜16V)、質量:1.7kg、
発売時価格:¥280.000(税別)
(DCT-100)〜D/Aコンバーター:AL24Processing Advanced Super Linear Multiple 24-Bit
D/Aコンバーター(PCM1704)、周波数特性:5〜20.000Hz(±1dB)、ダイナミックレンジ:110dB、
S/N比(IHF-A):115dB、全高調波歪率:0.004%、オーディオ出力電圧:4V、外部入力:アナログ、
外部出力:光デジタル、電源電圧:14.4V、質量:1.7kg、発売時価格:¥150.000(税別)。
今回も登場、アルパインが誇る往年の銘機Juba7909J(発売時価格¥150.000税別)。
以前の視聴ではDCT-Z1に敗北した?と言う事もありまして、
今回は此方の勝手な都合で同価格のDCT-100を比較視聴の場に持ち込んでみました。
デジタルクロスオーバーやアライメント機能でも決して到達し得ない、
純粋な音楽再生を目指すリスナーにとって量産型アンプレスCDアナログ機、
最後のモデルとなってしまったDCT-100。その意地を見せるか!?、
それともやっぱり現在でもマニアの間では高い人気を誇るJuba7909Jか!?楽しみです。
アンプやスピーカーとの愛称が甲乙を付けると言っても
過言では無いDENONの歴代CDプレイヤー達。
視聴機選びも慎重にと言う事で、可能な限り軽量、コンパクトに設計し
航空機に使用されているアルミニウムと同じ素材のヒートシンクを採用し、
使用パーツの全てはMILスペックで温度、湿度、振動に対してかなり優れた
耐久性を実現していたリニアパワーの32.5W×2chモデル625iQと
2004年本国ドイツにてCAR&HIFI最優秀賞を受賞した事でも知られ、
ダンピングファクター300以上をマークするドライブ能力を持つ事で定評のある
70W×4chモデルPA-3204(発売時価格¥100.000税別)を
ブリッジ接続360W×2chの仕様で視聴してみました。
DCT-1に比べDCT-100と違いは8Vバランスラインアウトの省略や、
Z1譲りのオリジナル純銀RCAケーブルではなくPCOCCケーブルを使用する所(他にもあるけれど主な違い)。
やっぱりDENONと思わせる上品でスッキリとし、音楽を綺麗に聴かせてくれるタイプ。
DCT-100と言う中級機なのだが以前、視聴したDCT-A1よりも躍動感と透明度は向上したかの様に思え、
キチンと立体感もありバランスも取れている。低域の量感、ベースラインもDCT-1に味付けが似ているとされる!?、
以前視聴したDCT-Z1とまでも行かないがドラムの響きもかなり良好。クラッシック音楽の音場、
表現力もマッキントッシュMX4000程の驚きはないものの、リアリティーは充分なレベルに達している。
女性ヴォーカルは独特の華やかさと気品があるため、流石のJuba7909Jも
ガサツに感じる所がありテクノロジーの差を見せ付けられた。
しかし、スピード感のあるサウンドには少々もたつく傾向があるため、当方的には7909Jを選んでしまうがこれは、
当方が普段メインで視聴しているジャンルではと言う事で…。とにかく音が細かく緻密なニュアンスの再現力、
美しい透明感を求めているユーザーさんはやっぱりDENON。
更に、DCT-100は今回、写真に使用したグレイスゴールドの他にチタングレー、ブラックの3色が選べ、
車内に合わせてカラーバリエーションを選択出来ると言うメリットがあった。
しかし、時代はフルデジタル勢が急激に広がり台頭しつつあった頃。専門店でもサウンド調整の難しいとされる
アナログCDプレイヤーでは無くデジタル機に移行する所が多くなる。
そして世の中の景気の低迷でCDソフトが売れないご時勢が訪れ、
ついにはDENONもDCT-1/DCT-100を最後にカーオーディオ業界から姿を消す事になってしまった。